Camp Schwab -- 師走なのに長袖では汗ばむ強い日差しの夏日となった12月9日、280名もの子供たちが海兵隊キャンプ・シュワブに集まりました。子供たちはキャンプ・シュワブに隣接する辺野古・豊原・久志―久辺3区と呼ばれる地域の幼児から小学6年生までの子達です。
このクリスマス会は第7海兵連隊・USO(米国慰問協会)シュワブ・そしてキャンプオペレーションが合同主催のイベント、今年42回目を迎えました。名護市辺野古区の区長島袋茂氏も自身が小学校低学年の時にシュワブ基地主催のクリスマス会に招待されました。小学校の校庭に基地からのお迎えのバスが2台来て、児童たちを基地に連れて行ってくれたそうです。基地の隊員食堂でご飯を食べて、言葉が分からなくても楽しめるトムとジェリーの映画を映画館で見たそう。「何もない時代に、サプライズで基地に招待されてプレゼントもお菓子も貰って、イベントがとても楽しかったから、何十年たった今でも鮮明に覚えている」
キャンプ・シュワブの基地渉外官の伊波文雄氏は30年以上基地と地域コミュニティーの懸け橋となってたくさんの地域交流活動を手掛けています。毎週海兵隊のボランティア隊員たちを伴い、地域の小学校やこども園を回り英語を教えています。「伊波先生」と子供たちから慕われ、中には立派に成人した元教え子もいました。
集まった子供たちにシュワブ基地ディレクター、チャック・デセサリ氏が子供たちに開会の挨拶をしました。子供たちに「今日は何を楽しみに来ましたか?エアー遊具?ごはん?プレゼント?それともサンタクロースに会うこと?」と聞きました。挙手が一番多かったのはサンタクロースに会う、で子供たちと一緒に「サンタさん来てください~」と大声で呼びました。「サンタさんが会いに来てくれるまで、遊んだり、ご飯を食べたりして楽しんで下さい」
USOシュワブがピザとケーキ、そして辺野古地区が沖縄そばを参加者たちに振舞いました。センターマネージャーのチャド・ガーキー氏は7月に空軍を退役し、8月からシュワブに就任したばかりで今回が初めてのクリスマス会となりました。「私の妻は沖縄出身で、私も子供たちも沖縄が大好きです。地域コミュニティー活動を通じて、地元の方々と交流を深めていきたい」と語りました。ガーキー氏の家族もイベントの手伝いを行っていました。
子供たちに笑顔でピザを配っていたのはUDP(部隊交代計画)で本国から半年の任期で来ている第2連隊第2大隊のパトリック・ミクラフリン中尉。「USOが地域交流会を行うたびに参加する様にしているし、基地が行っている地域の子どもたちとの交流会も参加して少しでも滞在しているこの地域へ貢献したい」と答えました。
辺野古区長の島袋氏がシュワブ司令官の妻、ジーン・クラークさんに「辺野古だより」12月号を見せました。表紙は先日4年ぶりに行われた区民運動会で満面の笑顔のエリック・クラーク司令官とジーンさんが子供たちにお菓子を渡している写真が使われていました。ジーンさんは「夫がシュワブ司令官になって1年半、本当にとても楽しかった。私達は沖縄が大好きで、(コロナ禍が終わり)地域の方たちと交流が持てる機会をたくさん貰えて本当に嬉しい」と破顔しました。
名護市豊原区の区長宮城直美さんも子供の時に招待されたキャンプ・シュワブのクリスマス会を今なお鮮明に覚えています。「当時は何もなかったから、本当にとっても楽しかったって記憶が残っています。シュワブと私たちは持ちつ持たれつ、良い関係を築いてきました。シュワブの海兵隊員たちがいなければお祭りやイベントが盛り上がらないのよ」
島袋氏も「シュワブは辺野古11班なんだよ。もちろんなんか悪い事をしたら怒る。でも彼らには助けられた事の記憶の方が多いんだ」
ピザをほおばり、友人同士で語らう子、ピザを早々に食べ終わりバレーボールで遊ぶ子、ケーキのクリームを口の端につけて満面の笑顔な子。子供たちの楽しそうな声があちこちから聞こえてきます。
元気いっぱいの子どもたちのサポートは基地の海兵隊員や県内の高校から集まった高校生6名が行いました。具志川高校3年の照屋太琉君と星野陽花さんはキャンプ・コートニー主催の英語キャンプを通じてキャンプ・ハンセンを見学に来た際に渉外官の伊波氏と知り合いました。伊波氏を通じて、先日のハロウィンのイベントにもボランティアに来て今回2回目のシュワブのイベント参加となりました。星野さんは「私は国連で将来働きたい。テレビからの情報だけではなくちゃんと自分の目で見て感じて、色々学びたかった」と参加理由を教えてくれました。
その時でした。真っ赤な消防車がサイレンを鳴らしながらゆっくり走ってきます。子供たちが何事か?と消防車を見ました。ガーキー氏が消防車を誘導し、子供たちがその横についてきます。消防車から手を振るのはサンタクロースです。子供たちの興奮が最高潮となりました。颯爽と消防車からサンタが降りてくると子供たちは彼の周りに集まりました。サンタは一人ずつに優しく笑顔で挨拶をしていました。
サンタからプレゼントを一人ずつ受け取るために子供たちが整列しました。6年生の子供たちは今年が最後になるのでみんな少し寂しそう。小さい子供の中にはサンタを見て大泣きしてしまう子も。泣いてる子もそうでない子達もみんなプレゼントを受け取り、中身に興味津々でした。おもちゃはシュワブ基地のショッピングセンターにプレゼントを寄付する箱が設置されて、海兵隊員や基地で働く民間人による善意の寄付によって集められました。
子供たちに気さくに声をかけ、ほとんどの児童たちと顔見知りの渉外官の伊波氏。彼のオフィスは壁一面に今まで地域交流を通じて知り合った子供たちの写真や手紙等で埋め尽くされ、彼のこれまでの軌跡が伺えます。
「シュワブと辺野古の関係がとても良いんだよね。海兵隊の隊員達も良い人たちが多くて、地域の子どもたちも楽しんでる。だから楽しいし、頑張れる」
駐車場を走り回り、美味しい沖縄そばやピザ、デザートにケーキも食べおなかもいっぱいとなり、プレゼントも貰ったこどもたち。最後はサンタやイベントのスタッフたちにお礼に「赤鼻のトナカイ」をみんなで歌い、お礼を言ってイベントは終わりました。