沖縄のビーチは地元の人々はもとより沖縄に駐留する軍人にとっても癒される場所です。
気温が高く、晴れ渡った空と穏やかな風は、島を囲むターコイズブルーの澄んだ海で海水浴を楽しみ、休日を満喫するのに最高です。
第31海兵遠征部隊第262海兵中型ティルトローター飛行隊所属の海兵隊員たちが休みを満喫するべく10月12日土曜日の午後、読谷村残波岬周辺へシュノーケリングに向かいました。残波岬はたえ間なく打ち寄せる波によって形成された切り立った崖や割れ目、岩だらけの海岸線が特徴的な上級者向けのダイビングスポットとして有名です。
数時間海で泳いだ後、日が暮れ始め海況も悪化してきたので海兵隊員たちは撤収しようと着替えるために崖をあがりました。
整備士のジャレッド・ビーチー上等兵(テキサス州ニューブラウンフェルズ出身)が崖から海を眺めていると、1組の男女が泳ごうと海を目指し斜面を降りていくのが目に入りましたが、特に深く考えず仲間グループの元へ戻りました。
突然大きな叫び声があがりました。
「普通の叫びではありませんでした」とUH-1Yヴェノムの整備士ロバート・エスカミーラ伍長(テキサス州ヒューストン出身)は振り返ります。「何かがおかしいと思った私たちは何が起こっているか確かめてから帰ろうとしました」
一同は崖から状況を確認していると先ほど降りて行ったカップルの男性が一人立っているのが見えました。彼が何かを叫んでいます。
それを見た一同は直ぐに行動に移りました。
「他のメンバーに一緒に救助を向かうかなど意思確認すらしませんでした」とUH-1Yヴェノムの整備士スコット・ディーター伍長(ミズーリ州コロンビア出身)は語ります。
「考える前に体が動きました」
4人が海岸から行方不明の女性を探すために向かいました。岸からは探せなかったので3人が海へ入り捜索を広げました。
「他のメンバー達が崖の上から状況を確認し、指示してくれながら私たちは水中から崖の側面や岩を注視しました」とUH-1Yヴェノムの整備士ジョシュア・スティーブン伍長(ペンシルベニア州ナザレス出身)その時の状況を説明しました。
「私たちは既に4時間も泳いだ後だったのでへとへとでしたが、状況が深刻だった上にアドレナリンも出ていました。泳ぎながら行方不明の女性が亡くなっていたらどうしようとか、岩とかに叩きつけられて大怪我を負っているかもしれない彼女を泳いで連れ戻せるのか、などの不安が脳裏をよぎりました。でも何か出来ることがあるのなら、出来る事をしたいと強く思いました」
海岸から100メートル北へ泳いだところでビーチー上等兵が女性を発見しました。
女性は強い流れに流され、高くなった波によって岬の岩肌に投げ出されて動けない状態でした。
3人は直ぐに女性の元へ向かい、浅瀬で女性の手当てを始めました。
「私たちは彼女に医療アセスメントを行いました」とスティーブン伍長。
「彼女は膝を痛めており、あちこちにあざや切り傷がありました。それより深刻だったのは、精神的なショック状態で自力歩行ができない事でした」
スティーブン伍長とビーチー上等兵が女性を両脇から抱え込むように担いで安全なエリアまで移動する事にしました。整備士のセロン・デュベイ伍長(ミシガン州リッチモンド出身)が全員の所持品を担ぎ、最も安全なルート確保をするために先頭して泳ぎました。
「女性を支えながら岩肌を歩きました」とスティーブン伍長。「多分500メートルぐらいは90センチから1.8メートルの深さのところを波に打たれながら進みました。何度も体勢を崩しましたが、女性を水面に押し上げるように何とか頑張りました。デュベイが高波が来るたびに教えてくれて、岩に叩きつけられないように踏ん張りました。」
崖の上のチームは女性が無事に岸辺へ向かっているを見て安堵し、スティーブン伍長たちのもとへ向かいました。
「とてもホッとしました」と語るのは滑走路整備士ウィリアム・オレ伍長(ネヴァダ州カーソンシティ出身)「彼らが無事女性を発見し、岸辺に向かっているのを見て始めにしたことは男性に彼女の無事を告げた事です」
(陸に戻った後も)彼らはショック状態の女性の介抱を続けました。飲み水を与え、救急車が到着するまで彼女の容態をこまめにチェックし続けました。
救急車が到着し、事故の状況を救急隊に説明し女性が搬送されるまで現場に留まりました。
この事故は予測不可能な自然の脅威だけではなく、アメリカの代表として地域コミュニティーと良い関係を築くことの大切さを浮き彫りにしました。軍人・軍属がたくさん住む沖縄では地元の方々と信頼関係を育むことがいざと言うときに大きな違いが生まれます。
「わたしたちがアメリカや海兵隊を代表しているという事は最も大切なことなのです」とスティーブン伍長。
「私は遊ぶために海兵隊に入隊したわけではありません。アメリカを守り、そして国のために戦うためです。そこにはもちろんアメリカと同盟関係の国の人々も含まれます。自分たちの国であろうとなかろうと周囲の人々を尊敬し、理解し配慮する事は海兵隊として持ち続けるスタンダードであり、根幹にあるべきなのです」
人命救助に関わった隊員達はそれぞれその日に担った役割に対し、11月6日に表彰されました。
7人の海兵隊員は休日にもかかわらず行った人命救助は海兵隊の地域コミュニティーへのコミットメントを強く示しました。
(仮訳)正文は英語本文
Translated by Aya Ichihashi