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5月14日の夕方、海兵隊キャンプ・フォスターでエイサーのイベントがオープンゲートで開催されました。北谷青年連合会のメンバーと海兵隊の兵士らがこの日のために2か月間練習を重ねました。

Photo by Aya Ichihashi

キャンプ・フォスターのエイサーイベント

17 May 2023 | Aya Ichihashi U.S. Marine Corps Forces, Pacific

ここ二か月間ほど海兵隊キャンプ・フォスターのある建物から季節外れのエイサーの音が聞こえていました。

キャンプ・フォスター基地司令官のデビッド・バニング大佐をはじめ、エイサーを習いたいと一念発起した海兵隊、海軍、宇宙軍の兵士10名が一からエイサーを習い始めました。

沖縄の伝統芸能であるエイサーは旧盆の最終日に先祖の霊をあの世に送り出すために披露される踊りです。旧盆の間、数日間に渡り踊られることが多く、道ジュネ―では地区の青年会が夕暮れあたりから夜遅くまで地区の道をねり踊ります。

兵士たちにエイサーを教えているのはエイサーが盛んな中部においても、ファンが多い栄口(えぐち)区青年会と謝苅(じゃーがる)区青年会のメンバー。毎週2回、忙しいスケジュールを工面してエイサーを一から教えました。

座喜味太成さん(24)は謝苅区青年会のメンバーで太鼓を担当していますが、練習のあったこの夜はとても上手な三線と歌で生演奏でサポートしていました。参加している兵士たちがとても熱心に練習を休まず、まじめに練習に取り組む姿を見ていると、とても教えがいがあったし、楽しかったと語りました。沖縄のエイサーを通じて、交流が持てたことはとても嬉しいし、アメリカに戻ってもずっと続けてほしいと話しました。

栄口区青年会の天久一星さん(21)は、週2回のエイサーの練習を通して兵士たちとたくさん顔を合わすうちに友達みたいになったと語りました。大人になってこんな部活動のような事をする機会は中々ないので、エイサーを通して海外の人達と交流する貴重な経験ができたと言いました。

栄口区青年会OBで北谷町議会員の阿波根弘氏と北谷町議会議長仲地泰夫氏は真剣な眼差しで練習を見つめていました。仲地氏と阿波根氏はバニング大佐の基地と北谷町をつなぐ地域交流への熱意に突き動かされて、今回のエイサーイベントをサポートしています。

基地からの参加者たちは、青年連合会メンバーと「北谷村」「7月エイサー」「花のカジマヤー」「テンヨー節」「唐船ドーイ」の5曲の練習に汗を流しながら打ち込んでいました。

海軍病院でエコー技師として勤めるアリーシャ・クーパー二等兵曹は去年5月に北谷町美浜で行われたパレードで初めてエイサーを見たときに、女性のしなやかな手踊りに釘付けになったそうです。たおやかな手の動きをみて、とってもエレガントで優美だったと語りました。いつか機会があれば習ってみたいと思い続けた時にキャンプ・フォスターがエイサーのメンバーを募集しているのを見かけて直ぐに応募したそうです。週2回の練習に加えて、職場でも家でも時間を見つけては踊りの練習したそうです。

バニング基地司令官がローカルの方々にぜひとも見てもらいたいと強い希望を示し、今回のイベントは一般市民を招くオープンゲートとなりました。

本番の5月14日の午後5時の開演までに基地のショッピングセンター駐車場近辺は1000人を優に超える観客でいっぱいとなり、衣装に着替えた演者たちは緊張と興奮が交差する表情で各々の配置に向かいました。

キャンプ・フォスターと北谷青年連合会のエイサー隊が一曲、また一曲と踊ると会場のボルテージがどんどん上がりました。エイサーを始めて二か月、もちろん青年連合会の踊り手と比べると、粗削りではありますが、兵士一同自分が出来る最高のパフォーマンスを出し尽くしました。最後の演目の「唐船ドーイ」を踊りきったあと、会場から割れんばかりの拍手と、指笛の音が鳴り響きました。演者一同、最高の笑顔でお互いの健闘を称えあう姿が見られました。

今回チョンダラー(飄々と自由に踊りながら観客を盛り上げたり、隊列を整えたり、演舞中に折れたバチの交換等を行う世話役)を務めた阿波根氏は、「正直、(エイサーの練習を)始めた時は本当にどうなるかと心配していたが今日の出来は本当に最高だった。みんなこの二か月間よく頑張った」と最高の賛辞を述べていました。

自ら大太鼓を叩き、先頭で踊っていたバニング大佐も笑顔で「最高のパフォーマンスだったと思う。この素晴らしい文化交流に賛同して、一からエイサーを習おうとした兵士たちを誇りに思う。この2か月、週2回の練習を休まず参加しその上各々でずっと自主練習をやっていたと思う」と語りました。今後はもっとたくさんのメンバーを募集して、2,3年でメンバーが異動してもずっとエイサーを続けられる体制を作りたいと抱負を述べました。

キャンプ・フォスター渉外官・富村浩子さんはこの二か月間の時間を「奇跡の二か月」と表現しました。一番最初の練習がちょうど二か月前の3月14日でそれからは青年会、北谷町議会の皆様、米軍関係者が一致団結をして目標(今回のイベント)に向かったと語りました。特に3月から5月は日本では異動や新年度の時期で忙しい時期だったと思うが、週2回・夕方2時間の練習はとても濃い時間であり、この経験は関係者一同にとって一生忘れない思い出になったと思うと語りました。

合同チームの練習をサポートし、一緒に踊ったファイヤーバード・ドラマーズは週に1回、嘉手納基地内の小学校で放課後のクラブ活動として太鼓を教えて17年になります。同クラブを立ち上げたのはマイケル・スカ―ブロー氏とクリスティーナ・スカ―ブロー夫妻です。クリスティーナさんは子供たちに教えるのは楽しいし、彼らのパフォーマンスを見るのが大好きだと語りました。彼女はエイサーの囃子(ヘーシ)をローマ字にし、兵士たちに分かりやすいようにしたりと今までの知識と経験で練習を支えました。

合同チームのあと、夫妻が教えている生徒たち48名が観客の前で堂々と創作エイサーを披露しました。子供たちはみんな真剣にひたむきに今日のために練習を重ねてきたそうです。会場の観客たちも子供たちに惜しみない拍手を送っていました。

子供たちの創作エイサーのあとは、栄口区青年会がダイナミックな踊りで会場を沸かしました。兵士たちも真剣な眼差しでパフォーマンスを見つめていました。クーパー二等兵曹は「今夜は素敵なプロのエイサーパフォーマンスを見られて本当に良かった。とっても素晴らしい!」と破顔しました。最後に謝苅区青年会が心沸き立つパフォーマンスで締めくくりました。

会場の観客も一体になって、一足早い沖縄の夏の風物詩のエイサーを満喫しました。


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